こんにちは。
臨床心理士のみどりです。
新学期が始まりましたね。
最近は塾さんと一緒に働くことが多くなりました。
発達に凹凸のあるお子様に合った指導法などを考案しているのですが、その中で様々なドリルや教材を見てきました。
この教材はこんな子向けだなあ…と思うことが多くあり、これから、ちょっとずつ紹介できたらと思います。
今日は漢字アプリの紹介。
漢字は書いて覚えるは正解??
さて皆さま、漢字はどの様に覚えますか?
自分の小学校時代を思い出してみてください。
多くの方が「書いて覚えた」と答えるのではないでしょうか?
私もそうでした。
ノート一杯に書く。
今でもその流れはあまり変わっていないように思います。
しかし、この方法、凹凸のあるお子様には決して合っているとは言えないのです。
というのも、発達障害や発達に凹凸のある子供には、協調運動が苦手な方がいます。
協調運動とは、例えば、目で見て、その情報を手に伝え、書き出すという一連の流れのある運動です。
私の子どももそうなのですが、これが極度に苦手だと、こんなことが起こります
・枠の中に書けない
・パーツにまとまりがない、形がとてもいびつ(森の「木」同士が大きく離れているなど)
・書くのが極端に遅い
そんな特性を持つお子様には、無理に書いて覚えさせるのはとても負担が大きいのです。
プリントの1文字に10分かかる息子
さて、私の子供の話になるのですが、我が家では、小学校に上がりたてのころ、こんな出来事がありました。
ひらがなの学習のプリント、1文字を書くだけなのに、プリントを目の前にして、ずっと固まっている息子…
全く書き出す素振りがございません。
よく観察すると、マスのどこの位置から書き出したらいいのか、延々と迷っている様子。
仕方なく、私が「ここから書いたら?」と手を置くと、今度は、そこで止まってしまいます。
どうやら、今度は、どの程度進めばよいのか、分からずに、止まっている様子です。
うちの子供、実は、目で見てそれを感覚的に手の運動に伝えるのがとても苦手なのです。
逆に言うと定型発達の人はとても器用に情報を手に伝達して出力しているのです。
そのため協調運動が苦手な子供にプリントを無理に書かせてしまうと、勉強嫌いになってしまったり、進まないことにイライラして親が疲れてしまったりで、両者にとってコストがかかります。
書かせるという指導方法は文字を覚えるという目標を達成するのには、コストとリスクが高い方法になるのです。
書けるより、まずは「読める」を
凹凸子の学習はとにかくコスパが重要です。
うまく続けられる方法で目標を達成していく。
そのためには、目標を理解しましょう。
最初の目標は「文字を読めるようになる」
書くよりも識字が先の目標です。
文字が読めると、徐々に書く意欲もわいてきます。
我が家も、最初は読むを目標に学習をすすめました。
読むアプリ「漢字海賊」
早速お勧めしたいのは、こちら
「国語海賊-小学漢字の海-」
おすすめ理由その1:制限時間がない
これは何が良いって、制限時間がない!
ゲームアプリって制限時間があるものが多いのですが、発達の凹凸のある子どもには、この制限時間が曲者です。
凹凸子って、緊張が高い子や完璧主義の子が多い。
また、〇〇しなければ行けないと、ルールに厳しい子もいます。
そのため、制限時間があると「正解しなきゃ、出も分からない!時間がない!」とパニックになってしまいます。
ですから、なるべくゆっくり考えられる、このアプリは使いやすかった
おすすめ理由その2:選択式
当然ですが、書かないという点も大きなメリットです。
書かずに、読みを当てる。しかも、一つずつ大砲で打つという楽しい作業です。
選択式なので、漢字ドリルの様に読みを書かなくてよいので、負担が少なくて済みます。
おすすめ理由その3:自分でできる
ドリルで学習しようとすると、どうしても正誤判定は親の仕事になりがちです。
分からないときだけでなく、合っているかどうか、何が違っているのか、補正するまでが親の負担になるので、宿題を見るというのは結構親側も作業が多いのです。
また、放っておいてもできない場合は、付きっ切りで見ないといけないので家事の手を止めなければいけません。
アプリの良さは、機械が正誤判定してくれるところ。
間違ったときも、正解を表示してくれるます。
ただ、正解はシンプルに辞書の引用っぽく出されるので、(あの感じの横に小さく読み仮名が書いてあったり、音訓が並列されていたり)
その書き方だと、子供によっては読みづらかったり、どこが正解かわかりにくいのですよね。
わが子も、解説を飛ばして何度も間違えて、ストレスが高まっていたので(間違えると「もういや!!」と拒絶感が強くなってしまうのです)、正解だけは私が口頭で教える方式にしていました。
分からないときに教えてしまうと、自分で考えなくなるかな?学力が伸びないのでは?と不安になったのですが、何度も聞くのも面倒なのでしょう、そのうち一度聞くと、覚えるようになりました。
その4:お安い
もう、これ。これが好き(笑)
塾に通わせたらとても金額がかさみます。
家庭教師??一回の費用はとんでもないんですよね。
このアプリは年間で4300円(2024年現在)
月額で400円程度で良いのです。
私は、基本的に、「日常の学習は安く、自分ですすめられるものを」がモットーです。
自分で進められる仕組みを整えれば、きちんと学力は伸びていきます。
ただ、それは親の私が知っているルートではなく、その子のルートになるのです。
山登りと一緒ですね。ルートは1つではありません。
私は書いて覚えるがうまく行ったけど、息子は読んで覚える方法で少しずつ文字の能力が向上しました。
書く学習への配慮も必要
書くことが極度に苦手なお子様は、読んで覚える学習にするのと並行して、ストレスの多い書く作業は減らす必要があります。
そのため、我が家では学校の宿題に配慮をお願いしました。具体的には自分で書くのは一旦置いておき、私が下書きし、それをなぞってもらうようにしました。
(あ、なぞり書き練習は他のアプリもあるので、今度紹介しますね。)
そのために、学校では、担任に親のなぞり書きを許可してもらいました。
このような配慮は合理的配慮というのですが、専門家でないとなかなか分かりませんよね。
いきなり親が、「書く量を減らしてください」なんて言っていいのかしら?
教育方法に口出ししていいのかしら?
その方法では逆に学力を制限してしまうのでは…?
先生から反対されないかしら?
いろいろ不安が出てきて、学校への相談も迷ってしまいます。
そのように迷ったときは、ぜひ担任の先生やコーディネーターの先生に相談してみましょう。
コーディネーターは発達について専門的知識を持った職員です。担任だけでなく、このような職員も協力の輪に入ってもらうと良いですよね。
私の場合は「負担が大きいようなのでしばらくは、親の下書きをします。」
と連絡帳でお伝えし、個別面談でコーディネーターの先生も交えて相談しました。
いかがでしたでしょうか?
今日は特に書くことに苦手さを持ったお子様向けのアプリの紹介でした。
ぜひ試してみてくださいね。
それではまた!!