こんにちは、臨床心理士のみどりです。
今回は、「誰かが怒っていると、何とかしなくては…と焦ってしまう」「自分のことではないのにヒヤヒヤドキドキする」そんな生きづらさを抱える方へ、おすすめの本をご紹介します。
イライラしている人を見ると焦る…
みどりさん!
実は他人の視線や感情が気になってしょうがないんです
職場で不機嫌な人がいると、それがたとえ私に対してでなくても、すごくうろたえてしまいます。
なんとかしなきゃ…と焦って。すごくドキドキして…仕事も手につかないし。
とても苦しくなります。
なるほど。
それは辛いですね。
具体的にはどのようなことがありましたか?
この前も私の後輩が発注をミスして…
それでマネージャーが…「どう責任とるのっ!」て。
しばらく無言で…溜息ついて……
その時どのように思うのですか??
とても苦しくなります。
もう責めないでって…。
まるで自分の事のように苦しくなるんです。
このように、イライラしている人を見ると、自分が怒られているわけではないのにドキドキ、ヒヤヒヤして、落ち着かなくなる人は案外多いのです。
会社で不機嫌な人がいると、その人のことが気になって仕事が手につかなかったり、ヒヤヒヤしたり…結構辛いものですよね。
でも、周りの同僚とかは全く気にしてないみたいなの。
あー、またやってるー…くらい。
私、気にし過ぎなんですかね?心が弱いって昔から言われてるんです。
確かに、同じ状況下にいるのに、他の人の反応は違いますよね。その時は緊張感が漂っても、しばらくすると何事もなかったかのように仕事をしている。
でも、こっちはまだ心臓バクバク。ねぇ?怒ってる?何か取り繕ったほうが良い??と思考をめぐらし、冷や汗をかきながらなんとか自分の仕事を続けます。
他人の感情が流れ込んできて気になるのは刺激に敏感な脳だから
私の頭がオカシイのでしょうか?
そうではないですよ。
Aさんの脳の敏感さが引き起こしているだけなんです。
他人が怒っているだけで、心臓バクバク、苦しくなって、何とかしなくてはと焦ってしまう…いったいAさんの中で何が起きているのでしょう?
実はA子さんは他にも子供の頃から、人の声色や表情が気になって、ビクビク過ごしていたそうです。
友達の感情が手にとるようにわかるため、なんとかしてあげなくては…と思うことが多かったそうです。
そして、相手が不機嫌になると、「自分がなにかしたのでは?」と、不安になっていたそう。
他にも、最近は音がうるさく感じて、自室にいても、家族が話していると、それが気になってしまうなど、音への敏感さもあるのだそうです。
Aさんは刺激に対する感度が良すぎるために、他者の感情も自分の事のように感じてしまうのです。
誰かがイライラしていると、その情報をAさんの脳は素早くキャッチしてしまいます。
普通の人なら、その瞬間はピリピリした雰囲気を感じ取って、焦るかもしれません。
しかし刺激自体をそこまで敏感に受け取らず、また、その刺激を深く分析処理しようとはしません。時間とともに、その情報は忘れられ、自分の感覚に戻っていきます。
けれど、Aさんの脳は、その情報を脳の深くまで取り込みます。
あれがいけなかったのか?どうすれば雰囲気がよくなるか?考え続けるのです。
声のトーン、表情、言葉の使い方、そこに至るまでの経緯、後輩の言葉遣い、伝え方…
そこから、最適な解を求めて、脳がフルスピードで計算を始めます。
イライラした本人や言われた本人以上に動揺して、その後も引きずってしまうのです。
こういった、情報刺激に対する感受性が高いこと、その情報を深く感情を伴って処理してしまう性格傾向の人はHSPと呼ばれます。
HSPは刺激に対して感受性が高く、深い情動処理をする性格傾向の人
HSP?
よく聞くけど、何ですか?
HSPとはその人を表す気質。性格傾向の一つで「感受性豊かな脳」の持ち主のこと。
皆さんはこんなことはありませんか?
☑誰かの怒りを感じると自分に向けられていなくてもストレスになる
☑職場では常にアンテナを張っていて、周囲の人がどんな気持ちでいるか察知している
☑ショッピングモールや遊園地など、人の多いところに行くのは好きではない
☑テレビの暴力シーンを見るとその後何日も辛い感情が続く
☑有給休暇など、当然の権利で休んでも、後ろめたい気持ちがしたり、「職場の人に悪いなぁ…」と、罪悪感を抱きやすい。
☑他の人たちが不快に思わないような音も、ひどく苛立たしく思えることがある。
上記に当てはまる人はHSPかもしれません。
HSPの人は気質のせいだと気が付かずに、自分を責めがち
さて、A子さんのような、感情に敏感な人、音や人の表情、声、雰囲気など、些細な刺激もキャッチして、しまう人いますよね
それらの情報をキャッチして、分析し、自分でどうにかしようとする。
繊細な方々が生きるのに疲れてしまうのは、こういった、情報処理にエネルギーが割かれてしまうこと、そして他者の感情が見えてしまうがゆえの、恐怖や不安に苛まれること。
そして、他者の感情がわかってしまうがゆえに何とかしようと焦り、どうにもできない自分に罪悪感を感じてしまう傾向にあります。
でも、繊細さって自分では気づきにくいです。生まれつきこうなので、これが普通なんじゃないか?って思うわけです。みんなこれを耐えて生きているのではないか?と。
自分では特段繊細とは思わない。
繊細なのではなくて、みんなよりも心が弱くて根性がないから、こんなにつらいんじゃないか?こんな自分は駄目だ…と思ってしまう。
人の表情や感情が気になる方是非一歩立ち止まって自分を振り返ってみてください。
あなたは決して心が弱いのではありません。
自分を追い詰める前に、一度自分の脳の特性について、よく振り返ってみましょう。
HSPの人へのおすすめの本
最初のチェックリストのように人の表情や感情が気になってしまう方は、もしかしたらHSPかもしれません。
当てはまる方は、ぜひ下の本を読んでみてくださいね。
あなたのように敏感に色々な情報をキャッチしてしまう脳との付き合い方がわかります。
HSP 繊細さんにおすすめの本
「鈍感な世界に生きる繊細な人たち」
著 イルセ・サン
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この本は敏感な人の特性、それゆえに困ってしまうこと、それの対処法がわかりやすく書かれています。
自分に合うところだけ実践してみてくださいね。
今よりも生きるのが少し軽くなるはずです。
あなたの心は決して弱くなんてない
あなたは決して心が弱いのではありません。
あなたは決して根性がないのでもありません。
むしろ、性能の良い刺激に敏感な脳を持ちながら、この刺激の過剰な世界で生活している、タフさ、辛抱強さを持っています。
生きているだけで、人より何倍も刺激を多く受け取り、何倍も疲れてしまうのは当然のことです。
自分を責めずに、人の感情を受け取って辛くなってしまう自分を許してあげてくださいね。
今まで大変だったと思います。よく頑張ってきましたね。
そして、その脳はそのまま無防備に生きていると疲れてしまいます。
リラックスできるものを探したり、カウンセリングもおすすめです。
自分に合った脳との付き合い方がわかってくると、自分らしく生きる方法も分かってきますよ。